騒音の証拠の集め方|個人の記録を『勝てる証拠』に変える専門家の活用術

騒音の記録を付け続けているのに、
「被害者自身の記録は証拠になりにくい」と言われたことはありませんか。

「この記録は、本当に証拠になるのだろうか」
そんな不安を感じている方は、少なくありません。

結論から言うと、その記録はとても貴重な証拠になり得ます。
この記事では、その理由を分かりやすく説明します。

個人で付けた騒音記録の限界

個人で記録している内容には、
「被害者自身の見解」が含まれているという意味で、とても重要な資料です。

しかし、被害者自身が付けている記録には、決定的に足りないものがあります。
それが、「測定値の信頼性」です。

ご自身で測定した結果には、第三者へ共有するための客観的な信頼性がありません。
これは、使用している騒音計の問題だけでなく、測定方法や測定管理の問題でもあります。

たとえ検定の付いた騒音計を使用したとしても、
国家資格者や計量証明事業所が行う測定結果と同等の信頼性を得ることはできません。

これは、騒音が環境基準において「公害」として位置付けられていること、
また、計量法において環境計量の特定物象量(物理量)の対象となっているためです。

このため、騒音を公的な根拠として適正に扱うことができるのは、
国家資格者(環境計量士)や、計量証明事業所として登録された事業者に限られます。

騒音測定業者だけでは分からないこと

測定業者、特に計量証明事業所は、公的な証明書を発行できる機関であるため、
測定結果の証拠性としては十分に高いと言えます。

一方で、測定業者だけでは出来ないこと、評価しきれないことがあります。
それは、「被害者自身が感じている騒音」をそのまま評価するわけではない、という点です。

測定業者は、測定データに基づき、合理的かつ統計的な評価を行います。
しかし、その評価結果が、被害者の感じている「騒音」と一致しない場合もあります。

例えば、夜間の足音が気になっている場合、どの音が問題となっている足音なのかを、
測定データだけから特定することはできません。

そのため、最終的には、複数のデータを総合的に判断し、音のレベルを評価することになります。

被害者の記録と測定結果を組み合わせる意味

ここで、被害者自身が記録した内容に対して、
測定業者が解析結果を付け加えると、被害者の記録に、計量証明事業所による「根拠」が加わります。

これは、ただの記録ではなく、根拠のある明確な証拠として扱える資料になります。

このような資料は、被害者自身が日々の状況を記録し、
その記録に対して測定業者が測定データを解析することで実現できます。

騒音記録の具体的な付け方

日々の記録は、被害者自身が付けるもので問題ありません。
ある程度パターンが見えてきた段階で、
測定業者へ相談・依頼するとよいと思います。

例えば、ある1日について測定業者に解析を依頼し、
その結果を、被害者が付けた記録と照らし合わせて根拠付けます。

このように一度でも根拠付けができると、
これまで付けてきた記録の信頼性が高まります。
また、その後に付ける記録も、測定時の延長として扱いやすくなります。

もちろん、被害者自身の記録にある測定値は、
あくまで目安かもしれません。
しかし、すでに測定結果が得られていれば、
目安であっても十分に意味があります。

その後の記録は、騒音が継続して発生していることを示す資料になります。

録音データの活用

記録を付けている方の中には、
実際の音を証拠として録音している方も少なくないと思います。

ただし、常に発生している音ならともかく、
いつ発生するか分からない音を録音するのは難しいものです。

また、録音できたとしても、
第三者に聞いてもらうとなると、
再生するタイミング、音の大きさ、視聴環境などが影響し、
手間がかかる作業になりがちです。

ここは、測定業者の得意分野です。
測定業者では、多くの場合、測定と同時に録音も行っています。

録音は測定期間中ずっと行うため、
いつ発生するか分からない音も、確実に記録できます。

さらに、測定と同時に記録することで、
録音した音のレベルは、別系統のデータとして記録されます。
つまり、再生時の音量に左右されることなく、
その音の測定値がすでに記録済みである、ということです。

これは、第三者に音を聞いてもらう際に、とても重要です。

また、該当する音だけをレベル波形とともに切り抜き、QRコード化することで、
報告書にある「この音」を、その場ですぐに再生して確認できます。

ICレコーダーを常に持ち歩く必要がなく、
必要な音をいつでも再生できることは、
第三者へ状況を説明するうえで有効な手段になります。

騒音記録を証拠として使う方法

測定業者と協力して作成した記録は、
行政や調停、または相手方など、第三者へ共有する資料として、
信頼性の高い証拠として利用できます。

特に行政や調停を想定している場合は、
計量証明事業所などの登録事業者が作成した報告書であることが求められます。

被害者ご自身の記録と、計量証明事業者による測定結果を組み合わせた資料は、
裁判においても有効性の高い資料となります。

弊所の関わった事例でも、お客様の記録と測定結果の組み合わせは、
とても強力な証拠として扱われてきました。

特にマンション管理組合や弁護士においての評価は絶大で、
有無を言わさない圧倒的な証拠として扱われています。

まとめ

今回は、騒音の証拠の集め方として、
記録と証拠性についてお話ししました。

騒音被害者がご自身で付ける記録には、とても価値があります。
そこに、計量証明事業所による「根拠」を付け加えることで、
その記録は「証拠」として扱える資料になります。

これにより、過去の記録も資産となり、
今後の記録も「証拠」として利用しやすくなります。

すべてに「根拠」を求める必要はないかもしれませんが、
資料が集まり、音のパターンが見えてきた頃が、
専門家に相談するタイミングだと思います。

このタイミングで相談することで、例えば次のような点で有利になる場合があります。
・測定時に音が発生しないリスクを減らせる
・苦情により相手が対策をする前に測定を行える(※)

(※)について、誤解がないよう補足します。
相手が対策をして音が小さくなることは、歓迎すべきことです。
それで「あなた」が納得できれば、という条件付きですが。

ご相談時によくあるお話として、
苦情を伝え続けた結果、最近はそれほど大きな音がしなくなった、というケースがあります。

これを否定しているわけではありません。
ただ、測定という観点では、タイミングが少し遅かったと、
ご本人が後悔されることが多いのも事実です。

音がなくなれば問題解決とも言えますが、
長い期間騒音に苦しんできた方にとっては、
たとえ音が小さくなったとしても、身体が小さな物音に反応してしまうことがあります。

これは音の大きさの問題ではなく、
音に対する恐怖が残っているためだと思います。

小さな物音がするたびに、あの時の辛さがよみがえり、
心身が疲弊していく。そんな感覚です。

「もっと早く測定をしておけばよかった……」
これは過去事例で、お客様から共通して聞かれた言葉であり、
その意味を考えるきっかけにもなる言葉でした。