音の基礎知識

音の基礎知識

このページは、騒音・低周波音の測定や報告書を読む際に必要となる、 基本的な物理量と用語を簡潔に整理した技術解説ページです。

1.音とは何か

音とは、気体・液体・固体などの媒質中を伝わる圧力変動です。 空気中では、音源の振動によって空気の圧縮と膨張が生じ、 その圧力変動が伝わることで音として知覚されます。

音は一般に縦波として伝わります。 波の1周期に対応する長さを波長、 1秒間あたりの繰り返し回数を周波数といいます。 周波数の単位は Hz(ヘルツ)です。

2.音圧と音圧レベル

音による圧力の変化分を音圧といいます。 ただし、人が知覚する音圧の範囲は非常に広いため、 実務ではそのままの圧力値ではなく、対数で表した音圧レベルを用います。

Lp = 10 log10 ( p² / p0² )

Lp:音圧レベル(dB)
p:音圧の実効値(Pa)
p0:基準音圧 2×10-5 Pa

音圧レベルの単位は dB(デシベル)です。 dB は対数量であるため、数値の単純な加減算では 音の物理量そのものを正しく扱えない場合があります。

3.音のエネルギー比とレベル差

同種の音を比較する場合、音のエネルギー比 n に対するレベル差は 10log10(n) で表されます。

エネルギー比 n レベル差
2 倍 約 3 dB 増加
3 倍 約 4.8 dB 増加
4 倍 約 6 dB 増加
10 倍 10 dB 増加
1/2 約 3 dB 減少
1/10 10 dB 減少

例えば、同程度の音源が2つになった場合、 レベルは単純に2倍の数値にはならず、おおむね 3 dB の増加となります。

4.周波数と波長

周波数が低いほど波長は長く、周波数が高いほど波長は短くなります。 波長 λ は、音速 c を周波数 f で割ることで求められます。

λ = c / f

λ:波長(m)
c:音速(m/s)
f:周波数(Hz)

例えば、音速を 340 m/s とした場合、 1000 Hz の音の波長は 0.34 m となります。

周波数 波長の目安(音速 340 m/s とした場合)
31.5 Hz 約 10.8 m
63 Hz 約 5.4 m
125 Hz 約 2.7 m
1000 Hz 約 0.34 m
4000 Hz 約 0.085 m

5.音の伝搬と距離減衰

自由空間で点音源から放射された音は、距離が離れるほど拡散し、 一般には距離が2倍になるごとに約 6 dB 低下します。

一方、道路交通騒音や鉄道騒音のように、 連続した音源として扱う場合は線音源として考えることがあり、 この場合は距離が2倍で約 3 dB の低下を目安とすることがあります。

ただし、実際の環境では地面・壁面・天井・遮へい物・気象条件などの影響を受けるため、 現場では理論値どおりにならないことがあります。

6.低周波音について

低周波音は、一般に 1 Hz ~ 100 Hz 程度の低い周波数成分を含む音を指します。 このうち、概ね 1 Hz ~ 20 Hz は超低周波音として扱われることがあります。

低周波音は波長が長く、建具や構造物の影響を受けながら伝わるため、 通常の騒音とは異なる性質を示すことがあります。 実務では、1/3オクターブバンド分析や周波数別の確認が重要になります。

区分 周波数帯の目安 備考
可聴音 概ね 20 Hz ~ 20 kHz 一般に人が音として知覚する範囲
低周波音 概ね 1 Hz ~ 100 Hz 低い周波数成分を含む音として扱われることが多い
超低周波音 概ね 1 Hz ~ 20 Hz 低周波音のうち、特に低い周波数帯
超音波 20 kHz 超 一般に可聴範囲を超える周波数帯

7.音速

空気中の音速は一定ではなく、温度によって変化します。 実務上は、おおむね 340 m/s 前後として扱われることが多いですが、 温度条件に応じて補正して考えることがあります。

c = 331.5 + 0.6t

c:音速(m/s)
t:気温(℃)

8.備考

実務で用いる評価量は、目的により異なります。 騒音レベル、等価騒音レベル、時間率騒音レベル、最大値、 周波数分析結果などは、案件の目的・基準・整理方針に応じて使い分けます。

このページは、音の物理的な基礎事項を整理した技術解説であり、 個別案件の評価方法や法的判断を示すものではありません。