騒音測定では、LAeq や LA5(LA50,LA95) など、様々な評価方法が用いられています。
ただ、これらの数値は一般の方には少し分かりにくく、ネットなどで調べても、難しい言葉や数式が並ぶ事がほとんどです。
そこで今回は、騒音測定でよく出てくる LAeq と LA5 の違いを、実例をご紹介しながら、できるだけやさしくご説明したいと思います。
道路騒音の実測例
先ずは、下の図をご覧ください。
これらは、弊所が実際に測定した過去事例からご紹介する、騒音状態の異なる道路の10分間の騒音レベル波形です。
レベル波形を見ると、それぞれの特徴はかなり異なっていますが、等価騒音レベル(LAeq)の測定結果は、すべて 70dBA です。
見た目にはかなり違う騒音なのに、同じ値になるのは不思議に感じられるかもしれません。
ここに、LAeq と LA5 の違いを知る大事なポイントがあります。
LAeq は「平均的な音の大きさ」を見る値です
LAeq は、時間の経過とともに不規則に変動する騒音を測定し、その実測時間内の音エネルギーを平均した値です。これを難しく説明しだすと分かりにくくなるので、簡単に言えば、「その時間全体として、どれくらいの大きさの音だったか」を見るための指標です。
そのため、音の変動の大きさに関わらず、全体としての音エネルギーが同じであれば、LAeq は同じ値になります。
LA5 は「大きい側の音」を見る指標です
時間率騒音レベルとは、実測時間内で変動する騒音レベルが、ある割合の時間にわたって超えているレベルを表したものです。少し言い回しが難しいのですが、騒音の「変動のしかた」を見るための数値だと考えると分かりやすいと思います。
騒音測定では、90%レンジの時間率騒音レベルを使うことが多く、代表的なものに LA5、LA50、LA95 があります。
10分間の測定を例にすると、LA5 は「10分間のうち30秒間はそのレベルを超えている値」、LA50 は「ちょうど半分の時間にあたる5分間の位置にある値」、LA95 は「10分間のうちほとんどの時間で超えている値」と考えることができます。
ざっくり言えば、LA5 は大きい側の音、LA50 は真ん中あたり、LA95 は小さい側の音を表しています。
同じ LAeq でも、騒音の感じはかなり違います
たとえば、上の図のように、どれも LAeq は 70dBA だったとしても、音の感じ方はかなり違います。
ある道路は、車が絶えず走り続けることで、ずっと同じような音が続いているかもしれません。別の道路では、普段は少し静かでも、時々大きな車が通って急に音が上がるかもしれません。
LAeq は、こうした違いをならして平均した値なので、同じ数値になってしまうことがあります。ここで LA5 や LA95 を見ると、その道路の騒音の性格が分かりやすくなります。
この図では、バケツにたまった水の総量を、音のエネルギーの総量(LAeq)に例えています。左のように水面が大きく波打っていても、右のように静かでも、最終的にたまった水の量が同じなら、LAeq は同じというイメージです。つまり、どちらも同じ 70dBA(LAeq)だったとしても、音の変動のしかたが違えば、受ける印象はかなり変わってきます。
一方で、波打ち方の違いを見るのが、LA5 などの時間率騒音レベルです。波が大きいほど LA5 は大きくなり、波が小さくなると LA5 も小さくなります。
このように、音のエネルギー量(水の総量)を表す指標が LAeq で、大きい側の音の様子を見る指標が LA5 と言えます。
変動が大きい道路では、LA5 と LA95 の差が広がります
例として、甲州街道の騒音レベル波形を見てみましょう。
レベル波形図の右側には、各評価方法の演算結果が表示されています。図中の L5、L50、L95 は、分析ソフト上の表記ですが、それぞれ LA5、LA50、LA95 に対応しています。
甲州街道のようにレベル変動が大きい道路では、LA5 と LA95 の差が大きくなります。つまり、大きい音が出るときと、比較的静かなときの差が大きい、変動の大きな騒音状態という事がいえます。
一方で、保土ヶ谷バイパスのように定常的な音では、この差が小さくなります。
こちらは、凡例が非常に小さくまとまっています。これは、音の変動幅が小さく、ほぼ途切れずに一定の騒音が続いていることを示しています。
LAeq と LA5 をあわせて見ると、音のイメージがしやすくなります
この違いを踏まえて、24時間のレベル変動図を見ると、道路ごとの特徴が少し分かりやすくなります。
たとえば保土ヶ谷バイパスでは、日中の凡例が非常に小さくまとまっているため、変動幅が小さく、定常的な騒音状態であることが予想できます。
深夜2時や3時は少し変動幅が大きくなっていますので、交通量が減って、わずかに変動のある騒音状態になったのかもしれませんが、全体としては、ゴーという唸り音のような音が響く騒音環境であると考えられます。
一方で、甲州街道では、どの時間帯も時間率騒音レベルの間隔が広く、1日を通して変動の大きい騒音状態であることが分かります。
深夜2時や3時は少し変動幅が大きくなっていますので、交通量が減って、わずかに変動のある騒音状態になったのかもしれませんが、全体としては、ゴーという唸り音のような音が響く騒音環境であると考えられます。
これらの情報から想像すると、1日を通して音の大きさが激しく上下し、特に夜間では静かな状態とうるさい状態が、頻繁に繰り返される環境であると予想されます。
結局、どちらを見ればいいのですか?
LAeq は環境基準における指標として採用されています。環境基準は、行政上の政策目標ですので、個別の騒音問題に直接適用されることは少ない指標と言えます。
一方、LA5 は騒音規制法や条例で「不規則に変動する騒音」の評価に採用されています。実際の騒音苦情や規制の現場で基準として使われるのはこちらが多いため、一般の方にとっては LA5 の方がより身近な指標となります。
だからといって、常に LA5 だけを見ればよいというわけではなく、環境基準との関係を見たい場合には LAeq が適していることもあります。
ただし、どちらの数値も、ただ単純に比較すればよいというものではありません。たとえば LAeq なら、一時的な音を切り取るのではなく、昼間や夜間といった時間区分全体で評価するといった専門的な視点が必要です
結局のところ、どちらを見るべきかは「何のために測るのか」「どのルールと照らし合わせたいのか」によって変わってきます。
まとめ
LAeq は、音の大きさを平均的に見るための値です。いっぽう LA5 は、大きい側の音を把握するための値で、LA95 などとあわせて見ることで、騒音の変動のしかたが分かりやすくなります。
つまり、LAeq で「どれくらい大きい音なのか」を見て、LA5 や LA95 で「どのように変動している音なのか」を見ると、その騒音のイメージがかなりつかみやすくなります。
騒音測定の結果を見るとき、数字が多くて難しく感じることがあるかもしれませんが、それぞれ役割が違います。LAeq と LA5 の違いを知っておくと、測定結果を少し身近に感じられるのではないでしょうか。








