計量証明書の運用等について

計量証明書とは、測定した結果が真実であることを証明する書類です。計量によって証明書を発行できるのは、その対象が計量法で定められたものに限られます。

計量証明の対象については、経済産業省のウェブサイトで分かりやすく説明されていますので、そちらをご覧ください。

経済産業省のウェブサイト(計量証明)

弊所の場合は音圧レベルの計量証明事業所なので、音圧レベル(騒音レベル)の計量証明書について、具体的にお話させていただきます。

計量証明が必要な場合

ここは誤解が多いように感じますので、少し詳しく解説させていただきます。

計量法によると、「計量証明とは、法定計量単位により物象の状態の量を計り、その結果に関して、公に又は業務上他人に、一定の事実が真実である旨を数値を伴って表明する事」としています。 誤解が多いのは「公に又は業務上他人に」というところです。

計量法の解釈では、「公に」とは公的機関自らが行い、又は公的機関に対する事を意味するとしています。 また、「業務上他人に」とは他人(計量証明を行う者以外の者)から、証明行為の依頼を受けた計量証明事業者が証明行為を行う事を意味します。

要約すると、「お客様が公的機関に計量証明を行う事を目的として、依頼を受けた計量証明事業所が計量証明書を発行する事」となります。

つまり、公的機関に証明を行わないのであれば、計量証明書は必ずしも必要ではありません。 しかしながら、騒音測定が必要な場面では、公的機関が関わる場合が殆どだと思いますので、測定結果の信頼性の為にも、計量証明書は非常に有効な書類であると考えます。

計量証明書の発行条件

計量証明書は全ての測定で発行できるわけではありません。 発行するには以下の条件があります。

計量法第107条の計量証明の対象である事

音圧レベル(騒音レベル)の場合は、対象が音圧レベル(騒音レベル)であることに加え、以下の3つの要素を満たさなければなりません。

  1. 証明であること。(証明の定義に遵守)
  2. 関係法令、JIS等に基づく適切な分析方法であること。
  3. 分析結果が法廷計量単位により報告されること。

(1)の「証明であること」については誤解が多いように感じますので、詳しく解説させていただきます。 「証明の定義」 

このうち、(2)の「関係法令に基づく適切な分析方法」については、環境基準や騒音規制法(環境保全条例等)を準拠した適切な分析方法である必要があります。 つまり、これら法令の条件を満たさない測定については、計量証明書を発行する事は出来ません。 具体的な例としては、環境確保条例における規制基準は「集合住宅など同一建物内部における各住戸間の騒音」は適用しないとしているので、マンション等で問題となりやすい隣室や上階からの発生音の測定結果には、計量証明書を発行することは出来ません

計量証明の対象外の測定結果

計量法第107条対象外となる測定結果については、「計量法第107条対象外」と明記する事により、計量法との関係で誤解が生じないよう対応しています。(東京都計量検定所の指導に基づくものです)

ただし、ここまでを読んで頂ければわかる通り、同一建物内で発生する音に対して計量証明書を発行できない理由は、その音が環境確保条例の適用対象外であるため、だけです。 それ以外の条件は計量証明書を発行する場合と何ら変わりはありませんので、計量証明書として発行されない測定結果であっても、その信頼性や証明価値が劣るものではありません。

調停等における証明書の対応

調停等を目的とした測定では、対象が同一建物内で発生する騒音であった場合、上記の理由から計量証明書は発行できませんが、第三者機関として計量証明事業所が測定した結果は、最も有効な資料として扱われます。

計量法第107条対象外の測定結果については「報告書」としての提出となりますが、信頼性の確保として以下の書類を添付させていただいております。

  • 事業登録証明書(東京都計量検定所による登録事業者である旨の証明書)
  • 計量証明検査合格証明書(設備等が計量証明検査に合格した旨の証明書)
  • JCSS校正証明書(計量法第144条に基づいたトレーサビリティ証明書)
  • 検定合格証

計量証明書の運用等につて

計量証明書の運用は、お客様が、何を目的に測定を依頼するかによります。

  • 公的機関に証明書の提出を求められている場合
  • 調停等で客観的な証拠として求められている場合
  • 測定結果の正確性や信頼性を第三者に対して保証したい場合

弊所においては、計量証明書の運用について計量法を遵守し、東京都計量検定所にご指導いただきながら、適切な対応を心がけております。 運用方法についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。