このページでは、環境確保条例における騒音測定の測定点について、できるだけ分かりやすく解説しています。
敷地境界線の考え方、測定高さ、反射音の扱い、向かいの建物が音源である場合の考え方まで整理しました。
測定点の設定は、測定結果に大きく影響するため、とても重要です。
まずは、測定点の考え方を簡単にまとめます。
本文内では、以下の内容を詳しく解説しています。
| 基本 | 敷地境界線上で測定します。 |
|---|---|
| 測定高さ | 特に指定がない限り、地上 1.2 m~1.5 m を基本とします。 |
| 騒音苦情を伴う場合 | 生活環境の保全の観点から、事例ごとに合理的に判断します。 |
| 迷う場合 | 管轄する行政の担当窓口に確認します。 |
※初回公開時、一部に誤解を招きやすい表現があったため、測定位置の説明を見直しました。
環境確保条例については、以下のページでも解説しています。
「どの基準と比べるのか」「どのように測るのか」をあわせて確認すると、このページの内容も理解しやすくなると思います。
1.環境確保条例における測定位置
環境確保条例の騒音の規制基準値は、『音源の存する敷地の境界線における音の大きさの許容限度』です。
そのため、基本となる測定位置は、音源の存する敷地との境界線上となります。
しかし、実際には敷地境界線付近に塀やフェンスなどが設置されている場合が多いため、どちら側に敷地境界線があるのかを確認する必要があります。

この図は、塀が音源側にあるか、受音側にあるかによって、測定位置が変わる事を示しています。
測定位置は、塀の位置ではなく、実際の敷地境界線を基準として決めます。
※ただし、敷地境界線上での測定が困難な場合は、代替点での測定や推計により、敷地境界線上の音の大きさを判断することがあります。
図の左のように、塀の所有者が音源側にある場合は、敷地境界線は塀の外側、つまり苦情者側にあります。
この場合の測定点は、苦情者側の敷地境界線上となります。
一方、図の右のように、塀の所有者が苦情者側にある場合は、敷地境界線は塀の外側、つまり音源側にあります。
この場合の測定点は、音源側の敷地境界線上となります。
このように、塀やフェンスがあるからといって、どちら側で測ってもよい、という事ではありません。
測定点は、まず実際の敷地境界線がどこにあるかを確認した上で決めていきます。
なお、測定高さについては、特に指定がない限り、地上 1.2 m~1.5 m が基準となります。
ただし、発生源や受音点の高さによっては、伝搬経路を踏まえて個別に考える必要があります。
判断が難しい場合や、敷地境界線上での測定が困難な場合は、自治体の担当者に確認する事が望ましいです。
2.マイクロホンの高さ
通常、騒音測定は地上 1.2~1.5m の高さで行われます。
ただし、騒音苦情を伴う場合は、総務省の資料でも「生活環境の保全の観点から事例ごとに合理的に判断する」とされており、発生源と受音点の高さ関係に応じて、測定点の高さを決めます。
発生源と受音点の位置がともに低い場合は、測定点は敷地境界線上の高さ 1.2~1.5m です。
一方、発生源が高い場合や、受音点が高い場合は、受音点と発生源を結ぶ直線と敷地境界線が交わる高さを目安に、測定点を考えます。
なお、物理的にマイクロホンを設置することが難しい場合は、代替点での測定や推計により、敷地境界線上の音の大きさを判断することがあります
騒音苦情を伴う場合の測定点の考え方

3.反射音の補正
JIS Z 8731 では、反射の影響を避けられる場合は、できるだけ反射物から離れて測定する考え方が示されています。
しかし、騒音苦情を伴う測定では、苦情者の建物近くや敷地境界線上で測定する事が多く、反射の影響を避けられない場合があります。
そのため、反射音の補正は一律に決めるものではなく、現場の状況を見て個別に判断します。
環境基準の評価マニュアルには補正の考え方も示されていますが、これは参考の一つであり、そのまま機械的に当てはめるものではありません。

しかし、騒音苦情を伴う測定において、隣地との敷地境界線に測定点を取ると、建物の外壁近くに測定点を取る事となり、反射音の影響は避けられません。 このような場合は、上図に示されている -2dB の補正は、補正の考え方を検討する上での参考の一つになります。
ですが、建物からの影響を考慮して補正を行う事が、必ずしも適切とは限りません。
そもそも、騒音苦情は、苦情者の建物を含めた実際の生活環境の中で発生しています。
近隣騒音や生活型の苦情においては、基準値を超えたからといって、一律に規制されるものではなく、まずは助言・指導を行い、必要に応じて話し合いを促すことが基本の考え方となっており、反射音の補正の正当性よりも、現状の把握が優先される場合があります。
そのため、反射音の補正や測定点の選定の判断が難しい場合は、管轄する行政の担当者に確認する事が望ましいです。
4.音源の存する敷地が隣地ではない場合
例えば、道路を挟んで向かい側に音源がある場合が該当します。
このような場合は、建物に対する騒音の影響を調べる考え方が参考になります。
JIS Z 8731:2019 では、『対象とする建物の騒音の影響を受けている外壁面から1〜2 m離れた位置で測定する。測定点の高さは、特に指定がない限り建物の床レベルから1.2〜1.5 mとする。』としています。
具体的には、音源に面したバルコニーなどが該当します。
環境確保条例では、『音源の存する敷地の境界線における大きさの許容限度』が定められていますが、音源の存する敷地境界線での測定は、相手側の理解が得られていない場合は、現実には困難です。
そのため、バルコニーなどで測定した結果から、音源との距離を考慮して、敷地境界線での音の大きさを推測する方法を検討することになりますが、この場合も、管轄する市区町村の担当窓口に相談する事が望ましいと考えます。
最後に
今回は環境確保条例で騒音測定を行う際の、測定点の設定方法について解説しました。
測定点の設定は、測定結果に大きく影響します。
また、現場での実務なので後からの修正が効かず、最悪の場合、測定のやり直しが必要となります。
専門家が判断した測定だから正しいとは限りません。
むしろ経験豊富な専門家ほど、判断が難しい場合は、管轄する行政の担当窓口に確認しながら測定を進めています。
測定位置の選定は、環境確保条例を評価するうえで、とても重要です。
まずは相談のうえ、客観的な判断に基づいて、測定位置を設定することが大切です。
環境確保条例については、以下のページでも解説しています。
このページで解説した測定位置とあわせてご確認いただく事で、環境確保条例について、より全体像をつかみやすくなると思います。ぜひあわせてご一読ください。