環境計量士 浦山英樹

打ち合わせから測定、報告書の作成まで、経験豊富な環境計量士が責任を持って対応します。

環境確保条例における測定方法 第1回(測定方法の種類)

東京都の環境確保条例(都民の健康と安全を確保する環境に関する条例)では、『日常生活等に適用する騒音の規制基準』を定めています。 内容について間違いがあってはいけないので、詳細は下記のリンク先で直接ご確認ください。 東京都の環境確保条例(東京都のHPへのリンク) この記事では環境確保条例における測定方法に着目して考えていきます。   測定方法 ・計量法第71条の条件に合格した騒音計 (周波数補正回路:A特性、動特性:速い特性(FAST)) ・日本産業規格 Z8731 に定める騒音レベル測定方法 ・ ...

90%レンジ上端値の求め方

今回は 50回法における 90% レンジ上端値の求め方をご紹介します。 近年では騒音計の演算機能により、90%レンジ時間率騒音レベルは簡単に求めることが可能になりました。 しかし、最大値の90%レンジ上端値については、現在でも累積度数分布図を用いて求める必要があります。 騒音測定業務に携わる人にとっては定型の書式があるものの、初めて90%レンジを求めようとする方には分かりづらいと感じることがあります。 そこで、初めての方でも簡単に扱える分析用紙を作ってみました。 dBの集計と累積度数の計算が簡単にできるよ ...

騒音測定の記録用紙

一般の方がご自身で騒音を評価する為の記録用紙を作成しました。 JIS Z 8731:2019(環境騒音の表示・測定方法)に準拠していますが、初めて測定する方でも簡単に記入できるように一部簡略化しています。 「取引・証明」を目的とした測定では使用できませんので注意願います。 記録用紙 記録用紙(記入例) 測定方法はこちらで説明しています。 1.測定してみよう(マイベストプロ東京 コラム記事) 騒音の記録は 50回法で行います。 定常的な音や、常に変動する騒音の場合は、 5秒間隔で 50回の測定値を記録します ...

室内騒音予測計算方法(2)

前回は日本建築学会【実務的騒音対策指針 応用編】計算例 1-7 (各部位からのデシベル合成による方法)を参考とした、室内騒音予測計算方法をご紹介させていただきました。 今回は、同じく日本建築学会の【集合住宅の遮音性能・遮音設計の考え方】3. 野外騒音に対する遮音設計 (表3.i 室内騒音計算例)のデータを用いて、計算の進め方や注意点をご説明させていただきたいと思います。 とは言いましても、計算方法に変わりはなく、変わるのは採用するデータと計算過程だけです。 前回の計算にデータのみを入れ替えても同じ結果にな ...

室内騒音予測計算方法

今回は外部騒音に対する室内騒音の計算についてご説明させていただきます。 計算方法は日本建築学会【実務的騒音対策指針 応用編】計算例 1-7 「各部位からのデシベル合成による方法」になります。 実際の計算式をエクセル形式でご紹介しますので、そのままコピペしてご利用ください。 まず初めに、外部騒音の測定を行う際は FLAT 特性が基本となります。 A特性の逆補正により FLAT 特性を近似する事も出来ますが、一部の周波数帯域で十分なSN比を得られない場合がある事に注意してください。 周波数範囲は 125Hz・ ...

実務的デシベルの計算方法

デシベルの計算では、騒音のエネルギーが2倍になると、デシベルは3dB増加します。 上の式をエクセルの計算式で表してみました。 これはデシベルの和の計算式で、パワー和やエネルギー和と呼ばれます。 倍数の場合は以下のようにも変換できます。 ちなみに10倍、100倍、1000倍では、 差の場合は以下の計算式です。 63デシベルから60デシベルを引いてみました。 デシベルの和をエクセル関数で表すと以下の式になります。 デシベルの平均値は、パワー平均やエネルギー平均という計算方法になります。 この場合もエクセル関数 ...

静かな環境での騒音調査

騒音調査というと騒々しい環境を連想してしまいますが、実は、弊所で行っている半数以上は静かな環境での騒音調査です。 騒々しい環境では、騒音対策を前提とした測定が求められますが、静かな環境では、問題となるような騒音が発生しないかの確認が主な目的となります。 必要とされるのは、住宅街など一見すると静かな環境と思われてる地域で、新たに住宅の建築が計画されている場合です。 マンションや住宅を購入・建築する際、多くの方が周辺地域の環境について調査すると思います。 現地に何度も足を運び、立地条件や周辺道路の交通量、騒音 ...

暗騒音について

お客様にこんな質問をされた事がありました。 「暗騒音はどれくらいでした?」 その時は比較的静かな住宅街で遮音設計の為の環境騒音調査を行っていました。 おそらくですが、”暗騒音” という字面から「暗い時の騒音」、つまり夜間の静かな状態の音の事を仰っているのかなと思います。 もちろん、暗騒音の意味はそうではない事は知っていましたが、今回の測定において暗騒音って何だろうと、少し考えてしまいました。   暗騒音については、騒音に関する JIS Z 8731 や、環境省の各種測定マニュアルなど明確に定義さ ...

測定結果の見方

前回は「騒々しい環境」として、いくつかの地域で測定した、24時間の騒音レベル変動図をご紹介いたしました。 この中で等価騒音レベル(LAeq)と同時に時間率騒音レベルや最大値・最小値を表示してあるのですが、時々これらの意味についてご質問を頂く事があるので、今回は測定結果の見方をご説明させて頂きたいと思います。   先ずは下の図をご覧ください。   これらは騒音状態の事なる道路の10分間の騒音レベル波形なのですが、等価騒音レベルの測定結果は全て 70dBA です。 騒音の状態が全く違うにも ...

騒々しい環境(道路騒音)

回の静かな環境での測定事例に引き続き、今回は「騒々しい環境」の測定事例をご紹介したいと思います。 「騒々しい」と言っても色々な音がありますが、今回は道路騒音に着目しました。 対象となる道路は東京都内とその周辺地域で、近年の測定で騒々しく印象に残っている事例を選びました。 測定に関しては JIS Z 8731 や環境基準の評価マニュアルに準拠していますが、今回の事例における測定目的は建築物の遮音設計であるため、一部測定方法が異なる部分があります。 例えば、実測時間は1時間毎に正時から30分間、測定高さは道路 ...